事例:SAFFAIRE SKY ENERGY 様 前編

コーポレートロゴができるまで 
ヒアリング編

SAFFAIRE SKY ENERGY 
Corporate logo

前編

3社が垣根を超えて作った会社「SAFFAIRE SKY ENERGY」

合同会社SAFFAIRE SKY ENERGYは、日揮ホールディングス株式会社、コスモ石油株式会社、株式会社レボインターナショナルの3社が、廃食用油を原料とした国産SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)の製造や供給事業を行うために設立した、国内初の国産SAF大規模生産実現に向けた会社です。

社名の由来

SAFFAIREは、宝石のサファイヤ(Sapphire)とSAFをかけた造語です。サファイヤの持つ深みのある青は「ゆるぎない心」の象徴とされ、空の脱炭素化を実現するという我々の強い意志を表しています。さらに、サファイアの語源ともなっている「青空」に SKY ENERGY を組み合わせることで、SAFという持続可能なエネルギーにより「未来もずっと青空が続くように」というい願いが込められています。


はじめに

私はヒアリングを大切にしています。出来上がりの良し悪しは、ヒアリングの良し悪しに左右されると言っても過言ではありません。ヒアリングでは、「資料には載らないお客様が大切に思っていること、熱量」といった、重要な情報を直接感じることができるのです。この「資料や文字には現れない情報」こそがデザインの核となる、と感じています。


ヒアリング

右奥から 
日揮ホールディングス株式会社 サステナビリティ協創部 プログラムマネージャー 西村勇毅氏、植村文香氏 
コスモ石油株式会社 企画部 次世代事業推進グループ 佐藤裕平氏


私の不勉強を恥じ入りながら、今回のお仕事で初めて知った「SAF」について、教えていただきました。西村様より「SAFには複数の原材料からなる種類がありますが、“国内廃食用油100%のSAF”の大規模生産実現に向けて取り組むのは当社だけです。残念ながら、日本のSAF開発は世界から遅れをとっており、私達のSAF生産は急務です」と、うかがいました。 SAFの現状や課題などを知り、この事業の重要性・社会的意義を理解すると、お客様の使命感を共有できたような気持ちになり、私も身が引き締まる思いでした。

3社の役割

廃食用油からSAFを生産するためには、「廃食用油の回収」→「精製・生産」→「運営・販売」と、大きくわけて3つの工程があります。この「油のバトン」をつなぎ、資源循環を実現させるためには、3社の力が必要になるとのこと。 また、廃食用油の「海外流出」「調達」が大きな課題になっていること、そして「脱炭素・資源循環に、誠実に取り組む」ことは、未来もずっと青空が続いていくための使命だと、熱く語ってくださいました。これは事業であると同時に、社会貢献なのだと実感。


皆さんとても穏やかながら、ブレない気持ちと使命感に満ちた熱い方々でした。

ロゴデザインの方向性



ロゴは「会社を現すもの」。そして好みに左右されることがあるのも事実です。「本質は何か」という点がブレないように、用意したロゴのポジショニングマップ(私が今までにデザインしたロゴをもとに作成)をご覧いただきながら、デザインのイメージを話し合いました。概ね「クール」「シンプル」な方向で話が進み、またキーワードもたくさん出てきました。

今回のヒアリングでは、「SAFは石油の代替製品ではなく、脱炭素のソリューションを提供する」というのが大きな目的であって、そこに至る道程で「社会に対する新たな価値観の浸透」の大切さを実感しました。また、お客様が何度も語られた「フロンティア」という言葉から、非常に強い決意を感じることができました。 会社の理念、それを表現するデザインの方向性を共有し、約2時間のヒアリングが終了しました。


ヒアリングを終えて





私は制作に入る前に、ヒアリングを反芻しながら、お客様の仕事や想いを自分ごと化するために図式化したり、キーワード(重要と思われる言葉)を書き出します。言葉と言葉をつなぐようにキーワードを分類し、重要と思う部分にスポットを当てます。 これらの作業により、思考が整理され、デザインすべき方向性が見えてきます。


スケッチ スタート



ヒアリングの中から抽出した「キーワード」を軸に、それにふさわしい、またお客様の事業をイメージしながらスケッチを繰り返します。このスケッチの段階でボツになるもの9割。このスケッチの作業が、一番楽しくもあり、大変な時でもあります。その中から「これだ!」と思える案に出会う瞬間が、私の心がときめく時です。 目指しているのはカッコいいデザインではなく、お客様の想いが現れているデザイン。デザイナーは「お客様の想いをカタチにするフィルター」と考えています。

後編へつづく

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